【瀬戸内】ノスタルジックジャーニーを求めて~潮風に癒やされる町、竹原、尾道を巡る~
2024.02.13穏やかな海に大小さまざまな島が連なる瀬戸内海。のどかな風景を眺めながら、安芸の小京都とよばれる竹原と、日本遺産にも選定された尾道を巡る旅に出かけてみよう!


「町並み保存地区」内の西方寺からの眺め。高台にあるので、日本瓦の屋根が連なる町を一望できる。
江戸時代の面影を偲ぶ「安芸の小京都」、竹原
広島空港から車で南下すること約25分。空港からこんなにも近いところに、江戸時代の面影を色濃く残す美しい町並みが残っていることをご存じだろうか。
広島県竹原市は、平安時代に京都・下鴨神社の荘園だったことから、安芸の小京都とよばれている。江戸時代になると赤穂(あこう)の製塩技術を取り入れて塩田を拓き、良質の塩を得ることに成功した。
全国有数の製塩地として大いに栄えた時代に、「浜旦那」と呼ばれた塩田を経営する豪商たちは競って贅を尽くした屋敷をつくったという。
こうした隆盛期に築かれた屋敷や商家、蔵などは変遷しながらも受け継がれ、今でも軒を連ねている。
風情ある町並みは1982(昭和57)年に国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、町並み保存地区)に選定された。
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足を踏み入れると、タイムスリップしたような感覚に陥る町並み保存地区。
竹原市重要文化財の旧松坂家住宅をはじめ、寺院建築を模した本瓦葺き(丸瓦と平瓦を交互に組み合わせた葺き方)の屋根や漆喰塗りの外壁、洗練された格子などを保持した建物は、華やかな印象だ。
出入り口側から屋根が三角形に見える妻入りと四角形に見える平入りの建物が混在する町並みには、独特のリズムが感じられる。約500mにわたる本町通りは、往時を偲びながらゆっくりと散歩するにはぴったりだ。


建物の意匠を見て歩くのも楽しい。本瓦葺きの屋根、漆喰壁や格子などにはかつての主の心意気が感じられる。
町並み保存地区の奥まった一角にある「藤井酒造-酒蔵交流館-」は、昨年創業160周年を迎えた「藤井酒蔵」の使わなくなった仕込蔵を開放した施設。純米酒に絞り込んだラインナップを利き酒して、購入できるカウンターもある。
館内には"食中酒にふさわしい日本酒"というコンセプトにあわせて、女将の藤井啓子さんがセレクトした酒器や食器、カトラリーなどが並ぶ。センスのよいテーブルウエアは、リーズナブルで日常使いに最適だ。
藤井酒造-酒蔵交流館-
- 広島県竹原市本町3-4-14
- 0846-22-5158
- 営業時間 11:00~16:00
- 月曜休み(祝日の場合は翌日)
- https://www.fujiishuzou.com/sakagurakouryukan/
竹の里ならではの文化体験で、地元の方々との交流を!
竹原の町で文化体験をしてみたい方には「まちなみ竹工房」がおすすめだ。竹原市竹工芸振興協会のメンバーが竹細工体験のワークショップを開催している。
丁寧な指導を受けて、1時間ほどで花入れにもなるかごが完成した。「同じものを作っても、それぞれに微妙な差がでるところがおもしろいんですよ」とスタッフの片山一廣さん。地元の方々との交流のチャンスが得られるのも魅力の一つだろう。
近辺で海の写真がきれいに撮れるところがないかと尋ねたところ、居あわせた方々が「的場海岸じゃないか」と口を揃えた。ガイドブックにも載っていない海岸には展望台があり、そこから望む瀬戸内海の絶景には、思わず息を呑んだ。

大小の美しい島々が点在する瀬戸内ならではの景色。展望台からは大パノラマの眺望が楽しめる。
まちなみ竹工房
- 広島県竹原市本町3-12-14
- 0846-22-0973
- 営業時間 9:30~16:00
- 年末年始休み・不定休
- https://www.facebook.com/profile.php?id=100057387371966
モダンなリノベーションホテルで、暮らすように滞在する

「NIPPONIA HOTEL竹原 製塩町」の宿泊棟の一つ、KIKKO(亀甲竹/きっこう)棟。施設名には、竹の名称が用いられている。町並み保存地区の旧松坂家住宅の向いにある。
町並み保存地区の由緒ある建物をかつての佇まいを活かしながら再生した宿が「NIPPONIA HOTEL竹原製塩町」だ。江戸期に創業し、1975(昭和50)年頃まで料亭だった建物をダイニングに。銀行として明治期に建てられたあと、長く旅館となっていた建物と、明治期には造り酒屋、その後はビリヤード場などの娯楽施設だった建物を宿泊棟に。町に残る複数の建物を一括活用する分散型ホテルとして、注目を集めている。
町並み保存地区に、まるで住んでいるかのように過ごせるのが大きな魅力だ。