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恐竜特集 No.01

【福井県】日本の恐竜研究をけん引する“知の聖地”、県立恐竜博物館へ

2025.09.16

都道府県立の自然史系博物館において随一の来館者数を誇り、世界3大恐竜博物館のひとつにも数えられる福井県立恐竜博物館。コロナ禍終息後の2023年7月にリニューアルを果たし、恐竜研究の最前線として国内外から注目を集めるこの施設の魅力を紹介する。

卵のような建築に誘われて。「知」のランドマークへ

小松空港から昨春に延伸開業した北陸新幹線福井駅まで約1時間。在来線・えちぜん鉄道勝山永平寺線の終点となる勝山駅まで約1時間。さらに約15分シャトルバスを乗り継ぐと見えてくるドーム状の建造物が福井県立恐竜博物館の本館エリアだ。

2000年7月の開館から23年後に拡張リニューアル。設計は黒川紀章建築都市設計事務所。

映画「ジュラシック・パーク」シリーズにも登場するティラノサウルスのモニュメント。2023年のリニューアルにあわせて設置された。

同館の開館は2000年7月。巨大な恐竜の全身骨格標本の展示を主たる目的に設計が進められた。ドーム状に見えている建物の大半は地下へと潜り込み、実際は地球のような楕円体へと収束している。来館者用エントランスは3階部分に位置し、1階と地下1階部分は、外部からはほとんど見えていない構造。高さ37.5メートル、直径84メートルという巨大な楕円体に、事務室や研究棟からなる低層建築が直結した設計は、まるで宇宙船のような非日常感を演出してくれる。

直線と曲線が幾重にも交じり合う幾何学的なフォルム。

3階から地下1階までを繋ぐシンメトリーに設計されたコンコースも、同館を語る上で欠かせないシンボルのひとつ。

世界3大恐竜博物館のひとつ「福井県立恐竜博物館」

先述したように同館は、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館と並び、世界3大恐竜博物館の一角に数えられている。その最たる理由のひとつは、やはり全身骨格標本の総体数にある。同館には地球上に恐竜が誕生し絶滅していった中生代、つまり三畳紀から白亜紀にかけて約1億6,400万年間もの間に存在した、アジア圏由来の種も含めた50体もの全身骨格標本を展示。また、福井の名を一躍世界へと轟かせたフクイラプトルやフクイサウルスといった同県固有の種、それらに紐づくストーリーもまた、世界3大を語るに相応しい重要なファクターとなっている。

本館1階にある50体の全身骨格標本のうち、10体はレプリカではなく実物の化石が使用されている。

昨年度の来館者数は126万人、開館以降初めて年度入館者数が100万人を突破したという。東京は上野の一等地に位置し、恐竜だけでなく日本固有の動物や植物、時代ごとの技術の粋を展示する国立科学博物館であっても、年間来場者数は約350万人に満たない。このことを鑑みれば、福井の山間に位置する同館が年間126万人を迎える同館のすごさが容易に伝わるはずだ。

恐竜が誕生した約2億3,000万年前から絶滅した約6,600万年前までの系統図。

ティラノサウルス・レックスのロボットは、展示エリアの花形でもある。

ドーム型の展示室は「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」の3つのゾーンに分かれ、恐竜たちの全身骨格をはじめ、化石や岩石、ジオラマ、プロジェクションマッピングなどが常設されている。まず花形でもある「恐竜の世界」には、先述した50体の全身骨格標本が展示され、中国四川省の中生代の情景を実物大に再現したジオラマも見どころとなっている。続く「地球の科学」には、陸と海の堆積物、それらに埋積された化石、地殻変動によって生まれた岩石や鉱物などが体系的に展示され、最後となる「生命の歴史」では、地球における最初の生命の誕生から人類誕生までを時系列的に展示している。

「恐竜の世界」ゾーンでは最大で全長20メートルを超えたとされる竜脚類恐竜の全身骨格も展示(写真左)。「生命の歴史」ゾーンではマンモスなど大型哺乳類(写真右)、モササウルスをはじめとした海棲爬虫類などを多数展示する。

日本の恐竜研究の中心とも言える福井

フクイラプトル、フクイサウルスといった固有種が発掘されたとはいえ、他にも多くの固有種が国内で発掘されている中、なぜ福井が現代における的恐竜研究の中心地となったのか。その理由を同館の研究系の副館長にして福井県立大学客員教授でもある寺田和雄博士に訊いた。

福井県立恐竜博物館・副館長(研究)の寺田和雄博士。

「私達が子どもの頃、日本では恐竜化石は見つからないというのが定説でした。ところが、1982年に福井県の手取層群北谷層の崖で前期⽩亜紀のワニ類の化⽯が見つかり、これをきっかけに、福井県では1989年から本格的な発掘調査が始まりました。すると同地層から恐竜の歯や骨の化石などが見つかり、この地層が“ボーンベッド”と呼ばれる骨化石を多く含む特定の地層であることがわかったのです。その地層を徹底的に発掘するという方法をとったおかげで、多くの恐竜化石が発掘されているわけです」

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