お客さまの安全安心を“言葉”で支える──パイロットたちのアナウンス事情
2026.03.13「コックピット日記」では毎回、機長がパイロットや飛行機に関する航空豆知識を、実体験を交えてご紹介します。今月の担当は、北海道弁を交えたアナウンスで知られる、ボーイング737型機機長の山浦禎一です。
JALグループの国内線を支える主力機のひとつであるボーイング737-800型機。小型機に分類されるこの機種には、個人用画面によるエンターテインメントシステムが搭載されていません。そのため、お客さまによっては機内で過ごす時間を退屈に感じられる場合もあるでしょう。
そこで、私たちパイロットを含む737型機の乗務員一同は、ご搭乗体験をより快適かつ充実したものにすべく、サービスにさまざまな工夫を凝らしています。
そのひとつが、パイロットの言葉をお客さまに直接お伝えする「機内アナウンス」です。今回は、あまり詳しく語られることがない、パイロットのアナウンスにまつわる雑学についてお話しさせていただきます。
アナウンスの大切な目的は、お客さまの安全と安心を守ること
まずは、パイロットが行うアナウンスの種類についてお話ししましょう。そもそもアナウンスの本来の目的は、お客さまの安全で快適なフライトを守ることにあります。
例えば気流の関係で揺れが激しくなることが予想される場合、パイロットは客室乗務員にその旨をアナウンスし、お客さまに対して適切な配慮を行うように指示します。このアナウンスは、いわば“業務連絡”のようなもの。通常は「オールコール」と呼ばれる、全ての客室乗務員が受ける内線を通じ行われます。
ボーイング737型機機長 山浦禎一
それに対し、客室内のお客さまにパイロットが直接アナウンスする際には「パッセンジャーアドレス(PA)」と呼ばれる放送システムを使います。こちらは現在の飛行状況のほか、機体に揺れが発生している際に、あらためてパイロットから原因や揺れが収まる見通しについて直接お伝えするなど、お客さまの不安軽減が主な目的です。
実はパイロットがPAを使って客室内のお客さまへアナウンスをすることは義務ではありませんが、お客さまに安心していただくため、ほとんどのパイロットがPAでアナウンスをしていることは、言うまでもありません。
ちなみに、私が乗務する737型機では、PA(放送)を通じて客室乗務員へ業務連絡を行う運用が一般的です。私が特にアナウンスに気を配るようになったのは、このような事情があるからなのかもしれませんね。
アナウンスの内容は、パイロットの裁量に任されている?
先ほど、パイロットがPAをつかってお客さまへアナウンスをすることは、必ずしも全ての状況で一律に義務づけられているわけではない、とお話ししました。同様にアナウンスの内容についても、ある程度のフォーマットはあるものの、パイロットの裁量でアレンジすることが許されています。





