【エアバスA350型機】最新の機能を備えたよき“相棒”とのフライト。これからのパイロットに求められるスキルとは?
2026.06.16JAL機長にインタビューし、操縦する愛機の魅力とそれに向き合う姿勢を聞くコラム連載。飛行機の特性や操縦の魅力を通して、空を飛ぶ仕事の奥深さをお届けします。
島村真
1996年入社。2000年、ボーイング747-400型機でパイロットデビュー。ボーイング777型機で機長昇格後、2021年からエアバスA350型機の機長として国内線、国際線の乗務にあたる。
滅多にないフライトからはじまったパイロット人生
最新鋭の機能と環境性能、そして日本ならではの“おもてなし”の心を取り入れた客室デザインを含めた快適性により、JALのフラッグシップ機として活躍するエアバスA350型機(以下、A350)。25年以上のキャリアを持つベテランパイロットの島村 真は、2021年から同型機の機長を務めています。
「自社養成パイロットとして、私がJALに入社したのは1996年のことです。副操縦士としてパイロットデビューを果たしたのは2000年。最初に乗務したのは、“ジャンボ”の愛称で親しまれているボーイング747-400型機でした」
2000年といえば、大きな被害を起こした東海豪雨が発生した年。島村の初フライトも、奇しくも豪雨の最中に行われたのだとか。
「成田空港から伊丹空港に向かうフライトでした。離陸後から雷雲の壁にはばまれ、ルートの変更を余儀なくされた上、伊丹の手前にも厚い雷雲が発生しており、航空管制からの指示でホールディング(空中待機)をすることに。なんとか着陸したのちも、雷雨の影響で地上オペレーションが全て停止してしまい、通常なら1時間半程度の所要時間のところ、トータルで3時間近い乗務になってしまったんです。パイロットとしてのデビューということも含め、忘れられないフライトとなりました。以来、四半世紀ほど乗務をしていますが、とても大変な思いをしたフライトのひとつとなっています」
いわば“どん底”に近いフライト経験からはじまった、島村のパイロット歴。その後は順調にキャリアを重ね、2016年にボーイング777型機で機長に昇格。2019年にJALに導入された最新鋭機であるエアバスA350-900型機に移行したのは、2021年のことでした。
最新鋭の機能を備えた“対話する機体”と共に空を飛ぶということ
「私を含め、現在JALのA350に乗務するパイロットの大半が、ボーイング社製など他機種からの移行組です。私は、20年以上ボーイング機に乗務していたので、まったくと言ってよいほど設計思想が異なるエアバス機へ移行するための訓練は、戸惑いの連続でした」
という島村。特に驚かされたのは、訓練に対するボーイング社とエアバス社の考え方の違いだったといいます。
「ボーイング社の訓練は、事前にパイロットが必要な手順をおぼえ、その成果を訓練で正しく発揮するという流れが基本となります。対してエアバス社の場合は、操縦経験を重ねながら機体の特性を体得する『Learning by Discovery(経験から学ぶ)』と呼ばれる訓練方式に取り入れています。訓練の考え方については一長一短があるため、どちらがよいとはいえませんが、エアバスの操縦特性に向いている訓練手法だと感じました」
従来の旅客機に比べ、パイロットをアシストする機能が充実している点が大きな特徴となるA350。それまでに乗務してきたボーイング機との違いを、島村は次のように語ります。





