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フランス特集 No.02

パリジャンの新定番・週末オーベルジュ旅のすすめ

2025.10.27

コロナ禍以降、パリジャンたちの間でもはや定番となっている週末オーベルジュ旅は、フランスをよりよく知るために素晴らしい選択といえるだろう。観光の合間に訪れる高級フランス料理店も、フランス文化を象徴する素晴らしい食体験に違いないが、街を離れた先には美しい風景と、豊かで心打つ、総合的な文化体験が待っている。細部まで自分の目で見、目で触れ、匂いを感じることでさらにフランスの魅力を深掘りしたい。

オーベルジュで過ごす特別な週末〜Le Doyenné(ル・ドワイヨネ)

パリから南へ35km、エソンヌ県サン・ヴラン城の敷地内に位置する「ル・ドワイヨネ(Le Doyenné)」は、農園とレストラン、ホテルを併設するオーベルジュだ。車なら約1時間、電車ならパリから郊外線に乗り、約50分で最寄り駅まで到着できる。

レストランは2022年7月にオープンし、以降国内外から多くの人が訪れている。

オーベルジュとは、宿泊施設とレストランを兼ね備えた、美食のための宿のこと。その土地の風土や食文化を、五感で感じ取るための空間だ。忙しい日常を忘れ、フランスの豊かな食文化の細部に触れる。そんな贅沢な時間を過ごすことができる場所だ。パリの市内には多くの星付きレストランがひしめき、新店オープンが話題にのぼる。そんな美食と切っても切り離せないのがフランスだが、コロナ禍以降は、パリで経験を積んだシェフが、市街地を少し離れた場所にオーベルジュをオープンさせるというニュースが目につく。パリジャンの間でも、週末などにそういった場所へ「食」を目的に出かけることが増えていった。

ル・ドワイヨネは約200年の歴史を持つサン=ヴラン城の敷地内に位置する。

美しいゲートをくぐり、緑豊かな敷地内をしばらく車で進むと、石造りの建物に到着。
出迎えてくれたスタッフに中を案内してもらう。レストランのみの利用客も、宿泊客も、予約時間より前に到着し、散策するのがお約束だ。

「サン=ヴラン城は2世紀にわたる歴史を持ちます。デュ・バリー伯爵夫人やボルゲーゼ家、モンテマール家など由緒ある貴族が居を構え、1970年代にはアーティストのニキ・ド・サンファルと彫刻家のジャン・ティンゲリーがアトリエとした場所で、その後フランス初の動物園となりました」

レストランの前の菜園。

このオーベルジュを始めたのは、パリで活躍したオーストラリア人シェフ、ジェームズ・ヘンリーとショーン・バーニー・ケリーの二人だ。城のオーナーと協力し、2017年からこのプロジェクトをスタートさせたという。

「50年以上手つかずのまま放って置かれた菜園や果樹園を蘇らせ、化学肥料や農薬を使わず、有機コンポストを取り入れた再生農業によって土の生命力を取り戻しました。施設名は、ボルゲーゼ家時代に果樹園で育てられていた洋梨『ドワイエネ・デュ・コミス』に由来します」

養鶏場。ニワトリは食用ではなく、卵を採るために育てている。

広大な農園には古代種のトマト、野菜、ハーブやフルーツを栽培。温室も修復し、ここでは苗を育てているという。温室の奥の小屋ではニワトリや豚を飼育。卵、豚肉は自給自足で賄っているそうだ。フランスならではの野菜の種類や、その瑞々しさに思わず目が釘付けになってしまう。

ショーン・バーニー・ケリーシェフ。

農園を散策していると、レストランや宿泊施設内に飾る花を収穫していたシェフの一人、ショーン・バーニー・ケリーに遭遇。こんなことも珍しくないのだという。

「菜園では約130種類の野菜とハーブ、20種類のフルーツを栽培しています。今が旬のトマトはクール・ド・ブフ(牛の心臓)、ホワイト・ビューティ、グリーンゼブラなど7種。畑を見て、メニューを考案します。収穫してほしい野菜のリストを作り、庭師にお願いするんですが、こうやって自ら畑に出ることも多いんですよ」

収穫したてのトマト。甘くジューシーで、感動の美味しさ。

若いサヤインゲンは歯ごたえがあり、爽やかな味。

畑の一角では庭師がシェフのリストをもとに収穫中。客の姿が見えると、笑顔で「ボンジュール!」とあいさつをしてくれる。収穫している野菜などについて、丁寧に説明してくれるのだ。

「トマトの下に植えてあるのはサリコルヌというハーブ。トマトの栽培には水分が必要ないので、このハーブを植えてみたところ今年はおいしいトマトができました。タジェットは害虫防止のために植えています。縦長のトマト、ローマとミッドナイトローマはソース用。サヤインゲンはまだ若く、生でも食べられます」

太陽の恵みをたっぷり受けた野菜は瑞々しく、弾けるような甘さと香りが印象的だ。

散策をのんびり楽しんだ後は、宿泊棟へ。ここにはそれぞれ趣の異なる11室の客室がある。
「家具や照明、ヴィンテージの壁紙に至るまで、すべて2人のシェフがモルテマール家とともに選びました」とヴィクトリアさん。

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