【羽田空港 国内線】1日200便を支えるグランドスタッフの舞台裏!分刻みの業務から身だしなみまで
2025.01.27空の上で、空港で、日常で――。JALグループの舞台裏を紹介する連載企画。今回は地上職のグランドスタッフをクローズアップ。

羽田空港第1ターミナルの保安検査場前にて。
旅の始まりを告げる空港。お客さまを最初にお迎えするのが、グランドスタッフ(地上職)だ。チェックインのサポート、手荷物のお手続き、搭乗ゲートでのご案内など、その笑顔の裏には多岐にわたる業務が隠されている。


2020年に導入された自動チェックイン機やSelf Baggage Drop(自動手荷物預け機)。手慣れた様子で操作する方も多い一方、慣れない様子の方には、グランドスタッフが積極的にサポートをする。
羽田空港第1ターミナル(国内線)では、6時20分発の始発便から、20時55分発の最終便まで、およそ14時間半の間にJAL便が約200便出発し、同じく約200便が到着する。慌ただしくも安全かつ定時の運航を陰で支えているのは、常時100人以上のグランドスタッフだ。
今回はそんな羽田空港 国内線のグランドスタッフの舞台裏に焦点を当て、知られざる業務内容から、制服やヘアメイクなどの身だしなみのルールまで、詳しくインタビューする。

ベビーカーやゴルフバッグ、楽器などは有人カウンターにて対応。重たい荷物を運ぶので体力も必要な仕事だ。

牛込 香保子
大学卒業後、新卒採用で2016年JALスカイに入社。大学では幼稚園と小学校の教員免許を取得。「飛行機を見ながら仕事をしたい」という願いから、迷わずグランドスタッフの道へ。

金澤 智美
2017年、JALスカイに中途入社。以前はJALグループの別会社で予約管理業務に従事していたが、より近い距離でお客さま一人一人と向き合いたいという思いが強くなり、グランドスタッフに転職。
膨大な航空用語と格闘する日々を乗り越えて、一人前のグランドスタッフに
―― まず、グランドスタッフの具体的な業務内容について教えてください。
グランドスタッフ 金澤智美(以下、金澤)羽田空港の場合、出発ロビーでの自動チェックイン機のサポートやカウンター業務、手荷物のお預かり、搭乗ゲートでのご案内、ラウンジでのレセプション業務などがあります。
グランドスタッフ 牛込香保子(以下、牛込)羽田空港での勤務は早番・遅番の交代制で、早番と遅番のそれぞれ約100名のグランドスタッフが働いているんですよ。

――常時100名のグランドスタッフが、さまざまな業務に当たっているのですね。
金澤ちなみに新入社員は、約1カ月の研修を経てペーパーテストや模擬テストに合格すると、まずは出発ロビーで自動チェックインや手荷物のお預かりをサポートする係員からスタートするのが一般的です。
牛込最初の試験は特に緊張しましたね。グランドスタッフは航空業界に関する専門用語の知識も必要とするため覚えることが多く、苦労しました。
金澤新人の頃は次のステップに進むための試験があり、日々勉強に勤しんでいましたね。
牛込今はひとり一台タブレット端末が支給されて、必要な時にすぐに情報を確認できますが、私たちが新人の頃は手順書や資料をまとめた手作りのメモ帳を「あんちょこ」と呼んでおり、試験前は特に「あんちょこ」作りに追われていました。
金澤業務にタブレットは欠かせないものですが、私は今でも紙の「あんちょこ」も使っていますよ。
それと空港では「あのソフトクリームはどこで買えますか?」「○○のお店は何階のどこですか?」といった施設に関するご質問を受けることも多いので、航空に関するマニュアルだけでなく、施設に関する情報も身につけて、お客さまに対応できるよう引き出しを増やすようにしています。

最近は、VIP担当として業務に当たることが多いという金澤。
舞台裏では分刻みのスケジュールと臨機応変な対応の連続だった
―― お客さまからは見えにくい、舞台裏の業務とは?
牛込搭乗ゲートに何人のスタッフを配置するのかを振り分ける「アサインコントロール」という業務があります。状況に応じて、臨機応変な対応が必要となるため、簡単そうに見えて奥が深いんです。例えば、搭乗口が急に変更になったり、出発便が遅延したりすると、スタッフの配置を組み替えなければなりません。まるで複雑なパズルを解いているような感覚です。

グランドスタッフに欠かせないものといえばタブレット端末(写真は牛込が所有する端末)。最も使用頻度が高いアプリはトランシーバーのように使える「Buddycom(バディコム)」。
金澤他にも、飛行機が定刻どおりに出発できるよう、出発に関するあらゆる業務を統括する「デパーチャーコントロール」、通称「デパコン」の仕事もあります。
牛込グランドスタッフの勤務は早番・遅番制で、それぞれ約100便の出発を担当します。8~10人ほどのデパコンで、100便を分担する形です。
出発時刻の20分前になって保安検査場を通過されていないお客さまがいらっしゃる場合に、そのお客さまを探しながら、一方でキャンセル待ちのお客さまにご搭乗いただくかを調整するのも、デパコンの重要な役割です。
判断が遅れると出発が遅れる可能性もあり、常に時間との闘いという緊張感の中で業務に当たっています。

グランドスタッフは空港内を1日1万歩以上歩くこともあるとか。