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みんなのJALライフ&読者投稿

【松山空港】ちょっとマニアックな空港の話〜JAL初導入のハイテク地上電源車「eGPU」って何!?〜

2024.09.13

空の上で、空港で、日常で――。JALグループの舞台裏を紹介していく連載企画。
空港で働くクルマの一つ、地上電源車がハイテク化され、最新鋭の「eGPU」に!
舞台となる松山空港へ取材に向かった。

手前にあるのが、最新の地上電源車 「eGPU」。リチウムイオンバッテリー式駆動で、従来のディーゼル式と比較するとCO2排出量はゼロに。左からJALエンジニアリング 松山空港の整備士・佐藤と多摩川エアロシステムズの河合さん。

“空港の中で働くクルマ”は多種多様だ。航空機や貨物をけん引する「トーイングトラクター」や、ベルトコンベアで手荷物を機内に運ぶ「ベルトローダー」、階段を備えたクルマ「パッセンジャーステップカー」など。これら“空港の中で働くクルマ”を称して地上支援機材という。

近年JALでは、空港の地上支援機材の脱炭素に向けた取り組みを進めている。

その中で白羽の矢が立ったのが、ディーゼル式の地上電源車だ。2024年5月、JALとして初めて松山空港でディーゼル式に代わり、充電式(リチウムイオンバッテリー搭載)の地上電源車「eGPU(イージーピーユー)」が導入された。従来のディーゼル式の地上電源車と比較すると、航空機への電力供給時のCO2排出量はゼロ

「eGPU」とは具体的にどんなものなのか。松山空港整備事業所の佐藤拓央と、eGPUを取り扱う多摩川エアロシステムズ株式会社の河合正太さんに話を聞いた。

JALエンジニアリング 松山空港整備事業所
整備士

藤 拓央

多摩川エアロシステムズ株式会社

合 正太さん

知っていますか? 駐機中の航空機の電力について

――今回のテーマであるGPU(Ground Power Unit)について教えてください。

JAL松山空港 佐藤(以下、佐藤)駐機中の航空機に、電力を供給する地上装置のことをGPUといいます。

GPUは、航空機が到着してから再び出発するまでの折り返し時間「ターンアラウンドタイム」に、航空機の点検整備、機内の清掃などを行う際に使用されます。

ターンアラウンド中には、さまざまな地上支援機材が活躍する。

(左)空港で最も台数が多い、トーイングトラクター(通称、マメタグ)。荷物のカート・コンテナなどをけん引。 (中)ケータリングカーにて食事や飲み物、機内用品を搭載中。 (右)航空機の前方に、プッシュバックやトーイングを行うトーイングトラクター(通称、タグ車)。
※写真はすべて羽田空港(編集部撮影)。

(上)空港で最も台数が多い、トーイングトラクター(通称、マメタグ)。荷物のカート・コンテナなどをけん引。 (左)ケータリングカーにて食事や飲み物、機内用品を搭載中。 (右)航空機の前方に、プッシュバックやトーイングを行うトーイングトラクター(通称、タグ車)。
※写真はすべて羽田空港(編集部撮影)。

――航空機には大きなエンジンもあるのに、なぜ地上からの電気が必要なのでしょう?

佐藤駐機中の航空機は、翼の下の大きなエンジン(メインエンジン)を停止しています。そのため駐機中は、航空機の一番後ろに設置された「APU(Auxiliary Power Unit)」という小さな補助動力装置を使って電気を供給しています。

補助動力装置「APU」
APUは航空機のお尻の位置にある。

ところがAPUはCO2などの排出量が多く、騒音も大きくなることから、近年はその解決策の一つとして地上から電気を供給するGPUが推奨されています。

羽田や成田などの主要空港は、その敷地内にGPUが埋め込まれていますが(固定式GPU)、設置費用やメンテナンスの面から、地方の空港ではディーゼル式の地上電源車が使われています。

固定式GPU
大きな空港には地下に電源供給設備が設けられており、黄色のケーブルを使って電力を供給する。

ディーゼル式の電源車(GPU)
地方の空港では、車両タイプのディーゼル駆動式が主流。

整備士の佐藤は1988年入社。羽田、成田などの空港を経て、現在の松山空港では4年目になる。「松山は温暖な気候で過ごしやすく、海も近いので魚がおいしいです」。

――GPUは固定式とクルマの2タイプあるのですね。

佐藤はい、松山空港は後者のクルマタイプ(地上電源車)になります。

多摩川エアロシステムズ 河合さん(以下、河合)ここに興味深いデータがあります。ある調査によれば、空港の地上支援機材から排出されるCO2の約4割が、ディーゼル式の地上電源車によるものだったそうです。

デンマークの地上支援機材のメーカーIWC社が、ターンアラウンド時のCO2排出量を調べたところ、ディーゼル駆動の電源車が約4割を占める結果に。①トーイングトラクター(タグ車)。②パッセンジャーボーディングリフトカー(車いすを使用したままで乗り降りできる車)。③ケータリングカー。④ベルトローダー。⑤給油車。⑥ウォーターカー(給水車)、ラバトリーカー(汚水回収車)。⑦パッセンジャーステップカー。⑧トーイングトラクター(マメタグ)。出典:IWC社 ※空港や航空機のオペレーション等により数値は若干異なります。

佐藤そのような背景から、松山空港では一層のCO2削減を目指し、航空機への電力供給時のCO2排出量がゼロとなる、最新鋭の充電式地上電源車「eGPU(Electrical Ground Power Unit)」の導入に踏み切ったのです。

CO2削減だけじゃない。リチウムイオン式の地上電源車「eGPU」のすごさとは?

デンマークのITW GSE製の「eGPU」には日本製バッテリーが使用されている。ボーイング737型機の場合、フル充電で14便分のターンアラウンドの電力が供給できるとか。

――ところで全国に数多ある空港の中で、なぜJALとして初の「eGPU」導入が松山空港だったのでしょうか。

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