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日本紀行 沖縄 前半

【宮古島】“宮古ブルー”の奇跡――この夏、神秘の水中世界を覗いてみませんか?サンゴと共に生きる島へ

2024.07.16

沖縄本島から南西へ約300km。
8つの有人島からなる宮古諸島は、沖縄の中でもひときわ美しい海に囲まれた場所だ。
“宮古ブルー”とも称されるその色は、島々の成り立ちと深く関わっている――。
宮古ブルーと生きる人々に出会い、サンゴの恵みを知る旅へ。

宮古島の南部に位置する「イムギャーマリンガーデン」。天然の入江になっており、ビーチエントリーできるシュノーケリングスポットとしても有名な場所。浅瀬からサンゴ礁(リーフ)が広がり、熱帯魚が棲む世界を観察することができる。

シュノーケリングが楽しい宮古島。生命を育む海の畑、「八重干瀬(やびじ)」の水中世界へ

池間漁港からボートで20〜30分ほど。「八重干瀬」は、大小100余りのサンゴ礁群で形成されている。

宮古島でシュノーケリングを体験すると、ここが“特別な場所”であることがすぐにわかる。きらきらと陽の光が降り注ぐ水の中には、数え切れないほどのサンゴが群生し、その周囲をカラフルな魚たちが悠々と泳ぐ。こんな場所が日本にあったなんて――。息をのむほど美しい水中世界を前に、そう実感する。

熱帯魚がきらめく海中世界。宮古島でのシュノーケリングツアーは小学生から参加できることが多い。

宮古諸島の一つ、池間島の北の沖合に広がる「八重干瀬(やびじ)」は、国の天然記念物にも指定される日本最大級の卓状サンゴ礁群だ。

「世界中のサンゴ礁を集めても全海洋面積の0.2%に満たないのですが、実はわずか0.2%のサンゴ礁に全海洋生物の25%が生息するといわれるほど、豊かな生態系が育まれています」。そう教えてくれたのは、この地で20年以上にわたって八重干瀬へのダイビング・シュノーケリングツアーを手掛ける「池間島ダイビングサービス」の上地裕子さん。

池間島ダイビングサービスも加盟する宮古島美ら海連絡協議会では、「サンゴに触れない、サンゴの上に立たない」「ウェットスーツやライフジャケットを着用する」「サンゴに優しい日焼け止めを選ぶ」「水中生物にストレスを与えない」「浅いサンゴ礁域でのロングフィンの使用は避ける」という5つのルールを設けることで、八重干瀬の自然を守っている。

「もちろん、ここ八重干瀬にも多様な小型の海洋生物が生息していて、それらを餌にする大型の回遊魚もたくさん。古くから好漁場として島の暮らしを支えてきたこの場所を、“海の畑”と呼ぶ地元のおじぃや漁師さんもいるんですよ」(上地さん)

宮古島の海には、そこかしこにカクレクマノミがいる。サンゴ礁が生み出す変化に富んだ地形が、生物多様性を支えている。

まるで草原のように育つサンゴから、純白の砂浜が広がる浅瀬まで

古くから好漁場として島の暮らしを支えてきた八重干瀬では、「ドゥ」「ウツ」「フゥガウサ」など、サンゴ礁の一つ一つに名前が付けられている。いくつかのリーフでシュノーケリングをしてみると、地形も水深も泳いでいる魚たちも実にさまざま。海面にぷかりと浮かび水中世界を眺めていると、そのバリエーションの豊かさに驚かされる。

リーフの内側は波が穏やかで水深も比較的浅いため、ビギナーやファミリーでも気軽にシュノーケリングを楽しめる。ウミガメの姿が見られることも。

国内最大規模のサンゴ礁群、八重干瀬(やびじ)とは?
八重干瀬には、南北17km、東西約6.5kmの海に大小100余りのサンゴ礁(リーフ)がある。濃い茶色は大潮の干潮で海面上に現れる部分。薄い茶色い線は海面上に現れないリーフの形。リーフの名前は代表的なもののみ示してある。資料提供:宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち

数多くのシュノーケリングスポットが点在する八重干瀬の中でも、この日訪れた「イフ」は、ひときわフォトジェニックな場所だった。

純白の浅瀬が広がる「イフ」。古くから池間島の漁師によって一つ一つのサンゴ礁群に名前が付けられてきたことも、八重干瀬の特徴だ。

「イフは、サンゴや貝殻などのかけらが堆積してできた砂地が広がる浅瀬のポイント。真っ白な砂地に太陽の光が反射することで、独特の色合いが生まれるんです」と上地さんは微笑む。

サンゴなどのかけらが集まり、純白の砂浜となり、青く澄んだ海が輝く。この美しい色彩のことを、人は “宮古ブルー”と呼ぶのだろう。

(左)元気なサンゴ。(右)白化したサンゴ。海水温が高い状態が続くとサンゴと共生する褐虫藻(かっちゅうそう)が失われ、サンゴの “白化現象”が進行。この状態が続くとサンゴは死滅してしまうという。「今年は海水温が上がるペースがとても速いので心配しています。サンゴたちの様子を見守り、自然を保護するために何が必要なのかを考えていきたい」と上地さん。

池間島ダイビングサービス

  • 沖縄県宮古島市平良字前里34-1
  • 090-3790-3015
  • シュノーケリング14,000円(シュノーケリング機材一式、ウェットスーツ、ランチ、ドリンク、保険代込み)
  • 時間 9:00池間漁港集合、14:30前後の帰港(状況により変更する場合があります)
  • https://ikemajima-ds.jp/

サンゴの恵みと共に生きる島。後世に自然や文化を残し伝えていくために

宮古島といえば宮古ブルーと白い砂浜。海岸にはサンゴのかけらや貝殻が細かく砕けたものが打ち寄せられている。写真は、宮古諸島を構成する有人島の一つ、池間島。

波が穏やかなイムギャーマリンガーデン。

宮古島の海岸線沿いに車を走らせていると、海と大地が織りなす景色が車窓を流れてゆく。宮古の島々には大きな山や川がないため、大量の土砂が海に流れ出すこともない。そんな地形的な特徴も、濁りのない“宮古ブルー”を生み出す理由の一つだ。

宮古島と来間(くりま)島の間にかかる来間大橋。来間島にはお洒落なカフェや雑貨店が点在している。

宮古島の人々にとって、サンゴはどんな存在なのだろうか。来間(くりま)島で市民サークル「宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち」会長の友利博一さんに話を聞いた。

「宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち」会長の友利博一さんは宮古島出身。同団体は2002年から活動を始め、2022年日本サンゴ礁学会 保全・教育普及奨励賞などを受賞。

「サンゴはイソギンチャクやクラゲに近い小さな動物。このサンゴの骨格が長い時間をかけて堆積し、石灰岩の海底地形となったものを『サンゴ礁』と呼びます」。友利さんお手製の資料を使って解説してくれた。

「宮古島はサンゴ礁が隆起してできた、琉球石灰岩の島です。サンゴ礁は島の土台であり、水産資源のゆりかごであり、観光資源でもある。宮古の島々は、サンゴの恵みによって生かされているのです」と友利さんは話す。

宮古島は農業よりも漁業に古い歴史がある。サンゴ礁には多くの魚や貝、海藻などが育ち、人々の生活を支えてきたのだ。

「宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち」では、浅瀬を歩きながら水中世界を観察する「サンゴ礁観察会」の他、地元の子ども向けイベントなども開催。沖縄県民の多くは、海に潜ったり泳いだりする習慣がないといわれている。友利さんたちの活動は、泳がない、潜らない、魚を捕らないがモットー。

まずは、宮古に住むひとりでも多くの人にサンゴ礁のことを知ってほしいと話す友利さん。
「私たちは子ども向けに観察会なども行っています。遊びながらサンゴ礁に興味をもってもらうこと。それが、宮古の自然や文化を未来に引き継ぐことにつながると思います」

宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち

サンゴの島に磨かれた、湧き水仕込みの泡盛。天然の洞窟貯蔵庫で古酒(クース)を育てる楽しみも!

かつては「パルガー」という名で、集落の人々に親しまれていた湧き水。長い年月とともに「タルガー」に変化し、現在は「タラガー=多良川」の文字が当てられているという。

左から「琉球泡盛 多良川」の看板商品「琉球王朝(720ml・30度、2,060円)」、長期熟成された多良川の最高峰「長期熟成古酒 久遠(720ml・35度、4,850円」、宮古島の水と酵母とサトウキビを使ったラム酒「マクガン(700ml・40度、2,200円)」。

宮古島は、サンゴ礁の隆起によって生まれた琉球石灰岩の島。大きな川のないこの土地では、湧き水が、古くから人々の暮らしを支えてきた。

良質な湧き水が出る場所として知られてきた、宮古島市城辺砂川(グスクベウルカ)地区。この地に酒蔵を構える「琉球泡盛 多良川」は、酒造所の地下を流れる伏流水「多良川(タラガー)」を使った酒造りを行う老舗だ。

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