【オアフ島】緑に包まれて〜森林浴でエネルギーチャージ。五感を研ぎ澄ますトレッキングで心身ともにリフレッシュ！〜

「ハワイの自然に癒やされたい！」
そんな胸の高鳴りとともに降り立ったホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港。まばゆい日差しに輝く海はハワイの魅力だが、熱帯植物が生い茂る山や渓谷には神聖な美しさが満ちている。林野庁の調査^*によると、森林浴によってストレスホルモンは減少し、免疫細胞の一つであるNK（ナチュラルキラー）細胞が活性化するのだという。

ならば、ぜひ体験したいと向かったのが、「クアロア・ランチ・ハワイ」。人気映画の『ジュラシック・パーク』やハリウッド版『ゴジラ』の撮影なども行われた場所で、大人も子どもも、世代を問わずダイナミックな自然を満喫できる施設だ。

ワイキキから車を走らせること約45分。オアフ島の北東部、カネオヘ湾に面したクアロア・ランチに到着する。東京ドーム約450個分の敷地というから、どれだけ広いか想像いただけるだろう。
乗馬やマウンテンバイクのツアーをはじめ、農園を巡りながら、太古から伝わるハワイの食文化を学ぶコースまで揃っている。その中でも、体力に自信がない方も無理なく大自然を体感できるのが、UTV（オフロード用6人乗り四輪バギー）に乗って施設を回る約2時間のツアーだ。

風が横切るUTVは爽快で、座っているだけなのに大自然の中を探検しているような気分になってくる。緑に囲まれたなだらかな起伏の大地をひた走っていると、視界にはカネオヘ湾が広がり、牡蠣の養殖場や古代から伝わるフィッシュポンドが見えてくる。

「この土地はもともと、カメハメハ王族の土地だったのですよ。カメハメハ3世の相談役であったゲリット・P・ジャッドが1850年に土地を譲り受け、さらに息子が周辺の土地を手に入れて、当初はサトウキビやパイナップルを作っていましたが、1860年に牧場になったのです」と、マネージャーのブライアン・レイさんが説明してくれた。

また、一画に自然保護区を設けて、ハワイの固有植物やポリネシアの人々が移住する際にカヌーで持ち込んだ伝統植物（カヌープランツ）を復活させる試みも行われていた。
「近年は外来種が増えてしまって、その繁殖力の強さからハワイの固有種やカヌープランツが激減しています。昔のハワイがどのような様子だったのか、本来のハワイの姿を皆さんに見てもらえるようにしたいと考えています。地元の小学生も課外授業で見学に来るのですよ」（ブライアンさん）

ここでは、パンダナス、コア、タロイモ、ノニ、ククイ、サトウキビなどを見つけることができた。

しばらくすると、『ジュラシック・パーク』シリーズの撮影が行われたスポットが見えてきた。大掛かりなセットの一部が残されており、見学できるようになっている。見上げるような大きなセットは、発泡スチロールで作られているというから驚きだ。

さらに走っていくと、谷の下に広がる牧草地が見えてきた。ようやく牛とご対面だ。現在は、約600頭の肉牛が放牧されており、施設内のマーケットで精肉の販売も行われている。

UTVで施設を巡る3時間のプライベートツアーでは、コアの植樹を行うことができる。ハワイ原産のコアは、ハワイの人々にとって非常に大切な樹木で、カヌーやウクレレの材料として伝統文化を支えてきた。だが近年、伐採や外来植物の繁殖によって減少傾向にあることから、ハワイ各地で植樹が行われているのだ。

ハワイの自然から多くの恵みを受け取った感謝の気持ちを、植樹でお返しするのもいいかもしれない。「ありがとう、また来るね」とコアの木に語りかけながら、健やかに育ってくれるように願いを込めた。

また施設内では、ハワイの人々の食生活を支えてきたタロイモの植え付けをとおして生態系を学ぶ「マラマ体験」も行っている。マラマとは、ハワイ語で"思いやりの心"。ハワイでは「マラマハワイ」をスローガンに、伝統文化や自然環境を守るさまざまな取り組みが行われている。

ハワイの人々にとってタロイモ畑は非常に神聖な場所。祈りを捧げてから作業を行うという古来の風習に触れられるのは、貴重な体験になるだろう。

クアロア・ランチのマーケットでは、施設内で収穫された青果、ハチミツやチョコレート、雑貨などが販売されているのでお土産にも最適だ。また、ビジターセンターには日本人スタッフも常駐しているので、安心してアクティビティを楽しむことができる。ハワイの伝説が語り継がれる土地で、ぜひ森林浴を味わってみてはいかがだろう。

ハイキングやトレッキングをした後、清々しく爽快感に包まれた経験がある方も多いのではないだろうか。これは森林の癒やし効果によるもので、1982年に日本の林野庁が提唱した「森林浴」が昨今、「フォレストベイジング」として世界で注目されている。