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日本紀行 高知 前半

【土佐】究極の天然塩と鰹を追い求めて~もう一度食べたい!目利きが選ぶ1本は、鮮度と濃厚なうま味~

2024.05.13

土佐の海はどこまでも青く、知れば知るほど奥が深い。太平洋に面して、ゆるやかなカーブを描く長い海岸線を巡り、美しい海の恵みを追いかけたい。

4カ月かけて、ようやく完成に近づいた天日塩。100ℓの海水からつくれる塩はたったの1kg。

孤高の職人がつくる稀有な天日塩

高知空港に降り立ち、海岸線に沿って東へとひたすら車を走らせる。その東端に、総面積わずか6.5km2という四国で最も小さな町、田野町がある。今やこの町は県内で言わずとも知れた天日塩の産地。その立役者こそ、塩職人の田野屋塩二郎さんだ。

日本一との呼び名も高い職人・吉田猛さんのもとで製塩技術を学び、独立して田野町で天日塩づくりを始めて15年ほど。伝統的なつくり方を土台にしながらも、自然と対話し、理想の塩を求めるうちに、誰にも真似できない唯一無二の製法を見いだした。

田野屋塩二郎さん。「つくるなら日本一の塩を」と製塩を学ぶために東京から高知に移住した。日本のみならず、世界からも注目される塩職人だ。

太陽の光が降り注ぐビニールハウスの中を見せてもらうと、フレンチ料理のレストランから日本料理店まで、さまざまな店から依頼を受けたオーダーメイドの塩がつくられていた。
木箱に海水を流し、太陽と潮風の力で水分をとばしながら1時間おきに攪拌(かくはん)する。水分が減ったところへ再び海水を足し、何カ月もかけて濃縮させていく。撹拌の加減で、大きさや食感、味わいまで変わる。レシピがあるわけではない。天候や日照と向き合う職人の研ぎ澄まされた手の感覚だけが、正解を知っているのだ。

時に蟹や鰹などの魚介、昆布や松茸、果物などの食材を"だし"に使った、特別な塩もつくる。「これは藁(わら)の香りを閉じ込めた塩です」と、途中経過を見せてくれた木箱には、短い枝状の藁。鰹のタタキに用いるのかと思ったら、「ジェラート職人からの依頼なんです」と意外な答え。ミルクジェラートに、そのミルクをしぼった乳牛が食べている藁(牧草)の香りを移した塩を使うのだという。もはやガストロノミーの領域だ。

  • 白いご飯や肉料理にあう「塩二郎(黒)」と、鰹のタタキに合う「塩二郎(ピンク)」。

  • 4年ほどかけて熟成させた塩。100ℓの海水からつくれる塩はたったの1kg。

  • イチゴの塩。30kgの果肉を海水と一緒に濃縮し、出来上がりはたった300gに。

  • カニを漬け込んだ塩。うま味や色素が塩に移り、甲羅が真っ白に退色してしまった。

  • 「田野屋塩二郎プチシューラスク」は、天日塩「田野屋塩二郎」を使った塩キャラメルを濃厚に絡めた逸品。

真夏は70℃近くにもなるビニールハウス内での製塩作業は、実にストイック。それでも、孤高の塩職人がこの小さな田野町で塩づくりを続けるのには理由がある。
「この町の海は、汽水域の海水が混ざっているところがいい。山から染み出した水には栄養分がたっぷり入ってる。だから、おいしい塩ができるんです」

結晶から滴る水分は布で濾し、ミネラルの残し方まで細かく調整する。

奈半利川の水が流れ込む田野町の海。栄養分が豊富な海水が、うま味のある塩に。

限られた量しかつくれないため、塩二郎さんがつくる塩を入手するのは難しい。しかし、「田野屋塩二郎の塩」を使ったスイーツなら、田野町名物として手軽に購入できる。道の駅や空港の土産物店などで、探してみてはどうだろう。

中土佐の市場と漁師町の旅情に浸る

高知の東端から、今度は西へ。海の恵みを知り尽くし、日頃から鮮度のいい魚を味わっている県内の人々がこぞって訪れるという市場がある。中土佐町の「久礼大正町市場(くれたいしょうまちいちば)」だ。

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