本ページは「agora plus」のお試し版です。

「agora plus」はJALカード プラチナ Pro、プラチナ、CLUB-Aゴールドカード、CLUB-Aカード会員向けの情報サイトです。

みんなのJALライフ&読者投稿

JAL整備士のクラフトマンシップを目撃せよ〜役目を終えた希少なエンジン部品が “2025年干支ボール”になって誕生!?〜

2024.10.28

空の上で、空港で、日常で――。JALグループの舞台裏を紹介していく連載企画。
JALでは航空機の廃材を、整備士の手によって、唯一無二のアップサイクル商品として販売している。今回は航空機の心臓部エンジンにある「ナンバーワンベアリング」を使った、「干支ボール」製作の現場を訪ねた。

成田空港にあるエンジンメンテナンスセンター(エンジン整備センター)。場内で作られた新作の商品「干支ボール〜stand by 巳〜」。

マニア必見!希少価値の高いボール・ベアリングを使用した、輝く縁起物「干支ボール」

きらめく球体に、夜空と航空機を模した2025年の干支である「巳(ヘビ)」の曲線が描かれ、よく見ると搭乗口も。手にした人だけが気付く、その小さな工夫に、思わず笑みがこぼれてしまう――。

実はこれ、ボーイング767型機のエンジン内部で回転を支える部品の軸受(ボール・ベアリング)から取り出した硬球(ボール)をもとに製作した、JAL整備士によるオリジナル商品だ。

今回の商品には高い精度と耐摩耗性に優れた「ナンバーワンベアリング」と呼ぶ、希少性の高いボールを使用。

「干支ボール ~stand by 巳~」。商品はWebサイト「JALコレクションアイテム CRAFTSMANSHIP」にて受注販売<限定25個>。2024年10月30日(水)から予約スタート(マイルをつかった特典交換になります)

「皆さまにとって、2025年が飛躍の年になりますようにとの思いから、空を一緒に飛んできたエンジン部品を使った干支の縁起物を製作しました。航空機の窓や搭乗口の配置など、ボールの輝きと共にじっくりと見て楽しんでほしいですね」

そう話すのは、商品の考案者であり、日頃は成田空港のエンジン整備センターで働く整備士の永田千波だ。

終始、笑顔が印象的だった永田。「エンジン整備の現場では、個々の仕事に没頭することが多いのですが、感謝の気持ちを言葉や態度に表すようにしています。現場のコミュニケーションが活発になり、より安全な土壌が作られると思っています」

今回は、新商品「干支ボール」の舞台裏を特別に紹介。素材となったボール・ベアリングは、航空機にとってどのような働きをするのか、そしてエンジン整備で磨き上げた技術とは?

永田が所属する表面加工課では、部品の表面にさまざまな処理を施すことで、性能や耐久性の向上を担っている。写真は「ショットピーニング」の準備中。

「ショットピーニング」とは、表面に砂粒のような小さな金属の球を勢いよく打ち付ける処理のこと。部品の表面がギュッと圧縮され、目には見えない金属部品の疲労強度や耐久性を向上させる。

JALエンジニアリング
エンジン整備センター 表面加工課

田 千波

2020年入社。エンジン部品の表面に特殊なコーティングを施すことで、摩擦や化学反応から保護する業務を担っている。2022年3月に実施された空の上で手紙を楽しむ体験企画「お手紙フライト~Letter From The Sky~」では、廃材を活用したオリジナルのポストのデザインを担当。

高い精度の「ボール・ベアリング」は、安全運航に欠かせない重要なパーツ

――ボール・ベアリングについて簡単に教えてください

JALエンジニアリング 整備士 永田(以下、永田)ボール・ベアリングとは、内輪と外輪の間に小さなボールを均等に挟むことで、摩擦を減らし、回転軸の動きを滑らかにする軸受のこと。自動車や自転車などにも使われていますが、特に航空機のエンジンでは、特殊な金属が使用されています。

※ボール・ベアリングのイメージ。写真は航空機のものではありません。

ボーイング767型機の「ナンバーワンベアリング」と呼ばれるボール・ベアリングには、28個のボールが使用されている。エンジンには回転軸を支える6つのベアリング(メインベアリング)があり、中でもナンバーワンベアリングは、もっとも過酷な環境を耐え抜く。素材は、クロム、モリブデン、バナジウムなどを添加した高炭素クロム鋼(M50)で、高い精度と耐摩耗性に優れている。

――なぜ、航空機エンジンのボール・ベアリングは特殊なのですか?

永田航空機が前に進む力(推力)の約80%を生み出すのは、エンジン前方にある巨大な羽根、ファンブレードです。そして、このファンブレードを支え、スムーズな回転を可能にするのが今回商品に使用したボール・ベアリングです。

永田が、ナンバーワンベアリングの箇所を教えてくれた。だが、エンジンに取り付けるとその姿を見ることはできない。

――エンジンの推力80%! この小さな球体が大きなパワーを支えていたのですね

永田そうなんです。ボーイング767型機のボール・ベアリングは、何万トンもの推力に加え、1分間に約3,500回という高速回転に耐え続けています。

過酷な環境下でも変形せず安全かつ安定して動作し続けるボール・ベアリングは、航空機の安全運航に欠かせない重要なパーツといえます。

ボール・ベアリングは、寸分の狂いも許されない最重要パーツ。精密な計測・検査が必要なことから厳重に温度と湿度管理された別室で計測・検査されている。

続きを読むには……

agora plusは、以下の対象会員の皆さまに向けてお届けいたします。

<対象会員>

以下のカードをお持ちの本会員および家族会員
プラチナ Pro/プラチナ/CLUB-Aゴールドカード/CLUB-Aカード

JALカードへのご入会・切り替え

まだJALカードをお持ちでない方で、プラチナ Pro、プラチナ、CLUB-Aゴールドカード、CLUB-Aカードへのご入会をご希望の方はこちら

既にJALカードをお持ちの方で、プラチナ Pro、プラチナ、CLUB-Aゴールドカード、CLUB-Aカードへのお切り替えをご希望の方はこちら